実技中心・2日間の講習|長野県伊那市|SRSクライミング
「屋根が黒く変色して困っています」
「枝先を剪定して全体をスケールダウンしてもらえませんか?」
枝先って簡単に行けないんですよ!
——心のなかでつぶやきながら段取りを考える。 講習テキストは、依頼を受けた講師のこの独白から始まります。
あなたならあの枝先にどうやって安全に行きますか?
枝先で身体を安定させ、安全にノコギリが使えますか?
講習名 とことんSRSクライミング 初級編
SRSで樹上を駆け巡る
重力の法則に逆らわず、
重力を上手く利用して
重力と友達になる!
そこで今回のテーマは「高木剪定の枝先に行くために」——登る技術ではなく、行きたい一点へ着く技術として組まれています。
道のり
幹から、枝先のピンクテープまで。
目的地は枝先の一点——教材ではそこにピンクテープが巻いてあります。同じ樹の中で、自分の位置とロープの角度だけが変わっていきます。
見る登る前に検査
登るkeep one anchor
登り詰めるエイペックスを決める
飛び移る振り子の原理
立つピンクテープの位置で
戻る重力と遊ぶ
- 見る
いきなり登り始めるのではなく、下記のリストを参考に、これから登る木の検査をしましょう。「樹木は危険が潜んでいる」と先入観を持って検査することが肝要です。
- 地面に割れ目がある
- 根元付近に腐れ・空洞がある
- 幹の途中に腐れ・空洞がある
- サルノコシカケが発生している
- ぶら下がり枝がある
- ハチの巣がある。カラスの巣
- ツタウルシが巻いている
- 電線が接触している
あなたの無事な帰りを待っている人がいます。あなたの命は何者にも代えがたいのです。
- 登る
腰を曲げずに身体を一直線にします。その場で膝を上げて「足ふみ」するように動かしてください。——疲れない登り方は、身体の使い方として教わります。枝を越えるときも合言葉は keep one anchor。命綱を複数使い、最低一つは常に木と繋がっている状態を保ちます。
- 登り詰める——エイペックス
その最高地点を決める判断基準は「今日の仕事は、どの枝の、どのくらい先にいくのか?」——ロープの最高地点(エイペックス)は、今日の目的地から逆算して決めます。この高さが、次の「核心」を左右します。
- 飛び移る
枝の付け根から登り始める方法ではなく、幹から飛び移ると楽に移動できます。振り子の原理を利用しましょう。 その練習は、まず地面の枝に乗って練習します。
- 立つ
いよいよピンクテープの所に来ました!おめでとうございます!チェンソーを楽々使うには腰の位置と向きを固定することです。——ランヤードをどこに設置すれば身体が安定するか、両手が使えるか。ここが目的地です。教材はある写真を示して右側からSRSのロープ(赤色)、中央上からMRS(青色)、右背後のランヤード(紫色)、と3本とも同じ方向からロープが来ています。これでは足を踏ん張ったときに身体が安定しません。と説きます。
枝先での作業姿勢の一例——教材内の写真 - 戻る
ピンクテープを結び直したので、幹へ戻ります。 たるんだロープのまま戻らない——もっと楽しく重力と遊びましょう!
核心
枝先の怖さは、
角度で決まる。
青色と緑色を比べてください。緑色は枝先に行くほどクライミングロープの「吊り角度」が大きくなり自分の全体重はロープに乗らず、枝に乗っていきます。そうすると枝が上下に揺れて怖さが倍増します。
吊り角度を30°以下にするためにはエイペックスを高くします。しかし、木の梢に近い程、トップアンカーを結ぶ枝や幹は細くて荷重をかけたときに大きくシナリ「へし折れるかも???」と不安になります。
そこで、アンカー設置方法を工夫して「木をへし折る力」を「木を押さえつける力」に変えます——細い梢をアンカーにする設置方法まで、実験で確かめます。
リダイレクトとは、新しくクライミングポイントをつくることです。そうするとロープの「吊り角度」が改善され、リムウォークが楽になります。さらに、リダイレクトしないと足を枝から踏み外したとき、あなたは幹へ激突します!!!
高いエイペックスから枝先へ——垂線との角度が小さく、体重はロープに乗る
低いエイペックスから枝先へ——角度が開き、体重は枝に乗る(教材の値: 30°以下が目安)
目的と目標
目的:樹上の行きたい所へ「楽しく」 そして「自由に」 移動して、仕事の効率性と安全性を確保する
目標:この2日間で下記の事柄をマスターしましょう
- 樹の縦移動の本質を文章化する。
- 樹の横移動の本質を文章化する。
- 枝先作業の安定ポジショニングの本質を文章化する。
*本質とは技術の基となる普遍的なもの 教材にはこの3つを自分の言葉で書く欄が実際にあります。登れた、ではなく、なぜ登れたかを書いて帰る。
文章にすると、学んだことを一度頭の中で整理できるので、理解が深まります。忘れても読み返せるので思い出せます。実際、高所恐怖症の人が2日間でココまで来ています。
上記を習得すると——地元に帰ってから一人でも練習できる。何をどのように練習すればうまくなるか、が解る!
SRSと、明日
SRSは「シングル ロープ システム」と呼ばれていますが、本当は「ステーショナリー ロープ システム」が正しい呼び名です。ステーショナリーとは「ロープが動かない・行き来しない」という意味です。
——現行の紹介ページ「SRSクライミングシステム とは」より
SRSはロープが枝に触れても動きに制約を受けないのでMRSの欠点を見事に解消してくれました。正しいSRS技術を習得してからは、2つのシステムを使い分けていますがSRS 90%、MRS 10%と言った感じです。
大切なことは
正しい技術を身に付けること。
作業の目的に応じて技術を使い分けること。
今日も1日お疲れ様でした!早く帰宅して一杯飲みたいところですが、明日も安心して登れるように今日使った器具を点検しましょう。——教材は「作業後点検」の項で終わります。あなたの無事な帰宅を待っている人を想い出してください。
できた!嬉しい!楽しい! を ご一緒に!!!
講習会スケジュールへ →開催と記録
記録は、公開しています
- 開催2023年・2024年に「初めてのSRSクライミング」の名で開催(定員4名の少人数・2日間)。2026年は「SRSで樹上を駆け巡る」の名で講習会メニューに掲載(現在はこの一文をキャッチコピーとして使っています)。2024年の開催記録「SRSクライミングシステム とは」
- 教材講習ごとの専用テキストを版管理(本講習は Ver6・2024年9月改訂)