チームで受ける実技講習|長野県伊那市|樹上レスキュー
その樹の根元を見ると、大勢の消防隊員が呆然と立ち尽くしていました。
消防隊員も樹に登ったことがない ハシゴ車も現場に入れない
強靭な男たちがいても、なすすべがなかった。
あなたが樹の上で動けなくなった時
誰が助けてくれますか?
答えは、仲間です。そして仲間が動けるように——助けは、事故の前に用意されている。この講習は、その「前」から教えます。
講習名 とことん樹上レスキュー 初級編
仲間の命はみんなで守る ——教材の題と同じ言葉です
事故の前に
降ろすまで5分か、それとも——は、
事故の前に決まっている。
教材の9か条には前もってレスキューラインが樹上にセットしてある。とあり、あとがきはケガ人を1秒でも早く樹上から降ろすには事前のレスキューラインの設置が必須条件になります。と念を押します。教材はそれを「最短5分で安全に早く負傷者を降ろす事ができる」条件として問い、スローラインを投げるところから始めた場合との差を、受講者自身に埋めさせます。
安全に早くケガ人を降ろすための9か条
- レスキュークライマー、グラウンドワーカーが共にレスキューの十分な経験と技術がある。
- レスキュー器具が使用可能な状態であり、その仕事の荷重に十分耐えられる。
- リスクに対して適切に対処できる。
- 適切なコミニケーションシステムがある。(無線機 等)
- クライミングロープが十分な長さがあり、樹上から地面まで確実に降りられる。
- 前もってレスキューラインが樹上にセットしてある。
- レスキュークライマー用の器具(スパー含む)が現場に用意されている。
- 応急手当ができる道具が現場にある。
- 緊急時のマニュアルが現場にある。
9か条のうち7つは、事故が起きる前に済ませておくことです(「事前」の印)。マニュアルには救急車の通報時、負傷者をどこまで運びだすか、最寄りの病院の住所と連絡先、緊急時の指令系統、誰が何を担当するか——教材の付録は、実際に現場で使う施工計画書とチームの役割分担表です。
器具は、探さない。——レスキュー器具をいつも「ハーネスの決まったところ」につける
レスキューライン(クライミングロープ)はSRS用のラインは60m(ボトムアンカーができる)/MRSの場合はアンカーの高さの2倍以上の長さが必要である。
フックナイフ(普通のナイフは危険)のような一行が、器具リストの随所にあります。
最低最悪を予測し、最高の準備を整え、楽観的に実行する!——講習テキスト「リスクを予測して準備する」の冒頭。作業のリスクを、クライミング中の動きを一つひとつ分解して洗い出すところまでが「前」の範囲です。
その瞬間
自分の動作を言語化すれば手順を間違いにくい
教材には、腕を切った仲間を降ろすまでの声掛けが、一言ずつ台本になっています。ケガ人に不安を与えないようマイナスの言葉は使わない。——声に出すことが、自分を落ち着かせ、ケガ人の励ましになる。手順そのものは、こう続きます。
- 119へ通報
- 二次災害のチェック——木登り前と接触前の2回。レスキュークライマーが二次災害に巻き込まれないこと。二次災害は絶対に起こしてはならない。
- 負傷者のスパーを外す :レスキュークライマーのケガを防止する
- 負傷者の真上から接触 :リフトがしやすくなる。降下時に負傷者が安定する
- 負傷者の上半身を起こして固定 :心不全や視覚傷害の防止
- 負傷者の腕を畳む :作業中にじゃまになる
- ヌンチャクで連結 :レスキュークライマーと負傷者を安定させる
- エイト環を追加 :ディバイスに発生する2人分の負荷を分散させる
- レスキュークライマーのシステムで二人とも下降する
- 胸骨圧迫、AED(一次救命処置) → 救急車に引き継ぐ
上半身を起こす——1分以内に
樹上で気絶すると、脚と頭が垂れ下がり、ケガ人は海老反りになる。実は、逆さ吊りの状態で長時間過ごすと死に至ってしまったケースが何件か報告されています。だから目標のひとつはケガ人の上半身を1分以内に起こし安定化できること。上半身が起きた状態を固定するために、チェストハーネスを利用します。
止血を急げ 血液の1/3を失うと死に至る
人間は全血液の1/5失うと気絶します。1/3以上失うと生命の危機にさらされます。例えば、体重60Kgの人は60×80ml=4.8リットル あります。したがって体重60Kgの人は血液を1.6リットル以上失うと命にかかわります!
大量出血の場合は地面に降ろすより先に、止血を優先します。 直接圧迫止血:出血箇所を直接強く押さえて出血を止める。この方法が最も基本的で確実。
状況で、やることが変わる——レスキュー3種類+リフト
- レベル1状況:クライマーのディバイスが壊れて使えない。ランヤードで確保されている。怪我の症状は軽く、自力で降りられる。
- レベル2状況:クライマーは樹上作業中に熱中症。意識がもうろうとして、自力では下降出来ない。 レスキュークライマーは自分のロープで樹上に登り、ケガ人を降ろす。
- レベル3状況①:クライマーは樹上作業中に腕を切った。止血帯は巻けたが、自力で下降出来ない。 レスキュークライマーはケガ人を自分のロープに移し替えて降ろす。
- レベル4状況:クライマーは枝股に挟まり意識を失う。 レスキュークライマーはケガ人をリフトして枝股からはずす。レスキュークライマーは倍力システムの十分な知識と技能を持つ。
Q:上記レベル1〜4の中で一番リスクが少ないものはどれですか?それは何故ですか?
教材は書き込み式で、この問いをはじめ、要所の答えは講習の中で自分の手で埋めます。目標にディバイスが壊れてもロープ1本で降りられるがあるとおり、まず自分が降りられることから始まります。
その後、そして前へ
地面に降ろしてから。
地面に降ろしたら、なるべく平らなところに寝かせます。その際、ケガ人の両膝を立てます。次に、ストラップやパンツのベルトなど、締め付け部分を外します。救急車が来るまでケガ人に手を添えて勇気づけます。
「事故が起きたらもう助けることはできない」この現実を突きつけられ、思考回路が完全に変わった。
「事故を起こさない。それが唯一の選択肢だ。」
レスキュー訓練が教える最大のことは、レスキューをしなくて済む作業です。教材の目的は3つ——絶対に事故を起こさない心構えを作ります/チームでレスキュー訓練ができるようになります/危険を予測する力を習得します。
目標
目標:毎朝・毎昼に読み返しましょう!
- レスキュー手順を言葉で表現できるようになる
- ディバイスが壊れてもロープ1本で降りられる
- チームの役割分担を明確にして、各自に作業指示をだせる
- レスキュークライマーを二次災害に遭わせない
- 樹上で止血ができる
- ケガ人をレスキュークライマーのロープに乗せ換えることができる
- ケガ人の上半身を1分以内に起こし安定化できる
日頃からチーム内で重要事項を話し合う習慣があると、メンバー個々の意識の中に「安全に作業することの必要性」が徐々に浸透していきます。それが事故を未然に防ぐ最も効果のある予防策です。
訓練に費やした時間と努力は必ず報われます。
——マーク・ブリッジ 談(教材より)
現場の効率を落とさずに、レスキューラインを常設できるはず。みんなでアイデアを出し合おう!——ページ左端に引いた一本の線は、この宿題です。
仲間の命はみんなで守る
講習会スケジュールへ →開催と記録
記録は、公開しています
- 開催2024年11月にリクエスト研修として開催(20名)。2025年・2026年は会員の方向けメニュー【樹上レスキュー】として開催(各20名)。2025年の開催記録
- 受け方チームでレスキュー訓練ができるようになります——現場のチームでの受講を前提に組まれています
- 教材講習ごとの専用テキストを版管理(本講習は Ver5・2026年6月改訂・©Forest empower)。付録に施工計画書・役割分担表・レスキュー手順のフローチャート